剣崎一真という男

剣崎一真という男は、いくつかの偶然が重なって
奇跡的に生まれたヒーローだと私は思います。
龍騎ファイズとヒーロー色より戦士としての色が強い
そして鬱展開に片足突っ込んだ、鬱フラグクラッシャーというよりむしろ
鬱フラグクラッシャーが必要なんじゃないかというような
超ドシリアスの傑作ライダーが2年続いたその後を受けて始まった仮面ライダー剣
生半なシリアスでは霞んでしまうような状況下で
始まったのはよくわかる楽しいオンドゥル語講座。
平成前期5ライダーで戦隊を組んだのなら
容赦なく迷いなくキレンジャーにぶち込まれること間違いなし
と思いきや後半からのこれこそがヒーロー、これこそが正義の味方
これこそが仮面ライダーだと言わんばかりの熱い展開。
そして最後は皆と別れ一人どこかへと去っていくという
哀しくも美しいエンディング。
これら全てをひっくるめて、剣崎一真は何者になったのか。
強いです。アンデッドなので死にません。どこに行ったかもわかりません。
そして剣崎本人にとっては、どんな形であっても人の中で過ごせていたのなら
それ以上の救いはありません。
ならば剣崎一真は、仮面ライダーブレイド
どこに居たっておかしくない、どこにでも行ける
どこの誰でも助けに行けるヒーローになったのではないでしょうか。
言うなれば、承太郎の神話力と仗助の日常感を兼ね備えたヒーロー。
ゴミ収集車に乗って燃えないゴミを回収しててもおかしくない。
放浪の果てに異世界に紛れ込んでもおかしくない。
荒廃した未来に居たっておかしくない。
それでいて、そこのコンビニでレジ打ちしてたっておかしくない。
なんならハッピを着てアイドルのライブでサイリウム振ってたっておかしくない。
昭和のレジェンドライダーや世紀末救世主、或いはスーパーマンレベルの
デウスエクスマキナ力を持ったヒーローが、です。
こんなに頼もしい話はないじゃないですか。
ネタにされ続ける道化であり、全てをひっくり返す切り札でもある。
歩んできた全てを経て剣崎一真はそういう存在になったんじゃないかと思います。